「クリエイターになりたい。けど自分にはお金がない。」
こういった経済的にゆとりは無いが野心のある若い世代を応援しようとする、’返還義務を負わない’給付型奨学金が今注目されています。
この奨学金プログラムを設立した人物は「白猫プロジェクト」と聞けば誰でも分かるであろう株式会社コロプラを経営している馬場功淳さん。
今回は自身がクリエイターでもある馬場さんの『クマ財団』とその全容にクローズアップ!!
目次
「クマ財団」とはどんな組織なのか
参考クマ財団
「返還義務が無い給付型奨学金」と聞いたら誰もが注目するかと思います。
「クマ財団」は初耳の組織だと思いますが、この組織は株式会社コロプラの馬場社長が理事長として2016年3月30日に設立された、学生の為の支援団体。
この「クマ財団」での取り組みは一見本体である株式会社コロプラの企業存続のための先行投資と受け取られがちですが、どうやらそうではないのではないかと私は感じています。
新しい芽を育てながらも自社へのコンテンツ提供を条件にしていない点が特徴的で、年間50人、計6000万円を夢見る学生の為に支給しようという試みです。
内容はざっくり下記の様になっています。
クリエイターを目指す25歳以下の学生が対象
募集人数:50名
年間給付額:120万円
毎月10万円を給付する奨学金システムという事になりますが、これはクリエイターを目指す学生にとってはとんでもない好条件かと思います。
一般的な奨学金制度では第1種奨学金と第2種奨学金があり、1種は無利息、2種は利息ありというパターンです。
私も大学費用は奨学金を活用しました。現在約480万円を返済中で、正直、中々大変です。
従来、どんなに好条件でも’無利息’が最大であったはずの奨学金ですが、「返還義務を負わない」という点は個人的に衝撃的でした。
奨学金の対象となる学生
対象者の詳細では下記に該当するクリエイター志望の方となっております。
-
(1)2017年4月に、高専4年生以上及び専攻科、専門学校、短期大学、4年制大学、大学院(以下「大学」と記載)に在籍する学生
(2)2017年4月1日現在で25歳以下の者
(3)クリエイター(オリジナルの映画、ゲーム、作曲家、画家、作家、漫画家、映像作家、技術、デジタルコンテンツやサービス等の作り手)を目指し創作活動をしている者
(4)ものづくりに対して情熱がある者
(5)選考のため、自作の作品を提出可能な者
参考クマ財団
平たく言えばありとあらゆる創り手という事になります。
しいて言えば’学校に在籍している学生である’という点ですね。
私の身の回りの友人にもクリエイターを志して下積みしている人間がいるので、この点はよく理解できます。
’クリエイターを志すだけでも金が要る’という事を!
クリエイターの定義
クリエイターってそもそも何なんだ?という話ですが、私自身も明確な線引きは出来ておりません。
馬場さんが運営されているクマ財団でも線引きはありませんが、主に下記の方をクリエイターと定義しているそうです。
クマ財団で定義されているクリエイター〜技術者〜
- テクノロジー
- サイエンス
- アプリ
- サービス
- ゲーム
- ロボット
- VR
- 言語
- ツール
クマ財団で定義されているクリエイター〜アーティスト〜
- 映画
- アニメ
- 作曲
- 漫画
- プロダクトデザイン
- グラフィック
- 建築
- 写真
- 絵画
- 彫刻
- ファッション
- メディアアート
- 工芸
- 小説
- 書道
- 戯曲
- パフォーマンス
これらのジャンルを見ていただくと分かる通り、もうほぼ全ジャンルと言っても過言ではありません。
クマ財団の奨学金プログラムに合格するメリット
クリエイターは世に評価されるまでの間、生活としては非常に厳しい状況にあります。
生活苦を理由に夢半ばで別の道へ進んでいく人の方が圧倒的多数というのが現実ですが、クマ財団の奨学生に合格すれば費用だけでなく、自身の作品が世に拡散されるための仕組みが施されています。
この点も他の奨学制度と異なる特徴です。
- メンター、クリエイター、企業の紹介
- スキルアップ支援
- 創作/発表スペースの提供
- 資料貸し出し・情報提供
- 奨学生同士の交流やプロジェクト活動・グループ展のサポート
参考クマ財団
正直な感想としては、奨学金の給付が無くても良いので上記条件で何とかチャンスを掴みたいとすら感じる若きクリエイターたちも少なくないのではないでしょうか?
「クマ財団」はクリエイターとしてデビューする為のある種’登竜門’の様な役割を果たしていくと言えますし、1期生が選出される今年、どんな面々がこのカリキュラムに合格するのか楽しみです。
給付期間は1年間「様々なカリキュラムで学生を支援」
同時に合格後〜満期日までの1年間は養成カリキュラムが組まれます。
2回実施される合宿の中では、クリエイターズワークショップから取材、ディスカッション、発表、講評など、気づきと学びを得るには格好のチャンスの場になっています。
個人的に良いと感じたカリキュラムは、最終的に行われる展示会での一般公開、こちらはプロからの講評もあるそうで、良い作品がプロの目にとまれば何かしらチャンスを掴めるかもしれない。
さらに嬉しいことに「KUMAクリエイターズカタログ」という1年を通して行なった活動などを紹介するカタログを発行してくれるそうです。これは後に就活にも使えそうです。
まとめ
コロプラと聞いたら「白猫プロジェクト」しか印象にありませんでしたが、「クマ財団」を通して個人的には馬場社長の人間性が垣間見えた様な気がします。
給付金だけでも年間6000万円を投資する訳ですし、その他にも運営経費がかかるはずです。きっと億単位での慈善奉仕なのではないかと思う。
クリエイターになりたいけどお金やチャンスが無いという学生がもしも身の回りに居たら、この「クマ財団」について知らせてあげたいです。
あなたの身の回りにもそういった学生がいたら是非教えてあげて欲しい。
今年、どんな50名が選ばれるのか非常に楽しみですね。ではまた。
追記:クマ財団の一期生が決定!
一期生が決定しましたが、その面々の活動実績が凄いので驚きました。(てか、岡ともみさん…めちゃめちゃ可愛いですね!笑)
全員の将来が楽しみなので、皆様のお名前&簡単なご略歴を追記します。
- 浅野聡太(和太鼓グループ'REN’のメンバー、パフォーマー)
- 阿部駿介(作詞作曲だけに留まらず映像製作までを行うシンガーソングライター)
- 池田昴平(メディアクリエイター兼東大生)
- 石川拳大(サーフィンと写真を融合させるパフォーマー兼映像クリエイター)
- 市川稜(プロジェクションマッピングを始めとするグラフィックアーティスト)
- 岩崎広大(写真家・彫刻家で幅広い領域で活動)
- 岩瀬駿(開発分野の世界コンテストで32位の実績も持つアプリクリエイター、そしてイケメンです)
- 岡ともみ(プロジェクターとプログラミングを用いた映像クリエイター)
- 小笠原佑樹(フリーエンジニアでありながら義手などの福祉工学に特化した開発者)
- 勝部里菜(大学在学中から有名賞を受賞し続けるメディアアーティスト)
- 川中陸(映画製作者で’J and K’という作品で著名になる)
- Nor(韓国出身の作曲家でDJや音ゲーなどマルチに活動)
- 久保哲郎(クラシック音楽の作曲家で聴覚だけではなく’人の五感’をテーマに作曲)
- 久保田徹(ドキュメンタリー系の映画監督でジャーナリズムの点でも注目を受ける)
- 黒木洋平(劇作家兼演出家で自主映画制作まで活動域が幅広い)
- 後藤宙(従来までの彫刻の概念や枠を超えた彫刻アーティスト)
- 近藤那央(ロボット技術を用いて親しみやすいポップな’いきものロボット’を創作)
- 皆藤齋(京都芸術大学2年生ながら既に画家としての個性に注目を集める)
- 佐藤果林(古典・日本文化とモダンを融合させる画家、見た目もとてもお綺麗な方です)
- 佐野圭亮(工芸家で古き良き伝統を保持しながらも現代的なアートを漆で表現する)
- 篠原裕太(パフォーマー兼昆虫食研究家、コオロギラーメンなど反響あるレシピも創作)
- 澁谷武(映像系クリエイターでモーション・アニメーション分野で注目を集める)
- 清水良広(実写をメインにした映像クリエイター、被写体を求め世界を駆け回る人物)
- 城啓介(遠隔コミュニケーション分野を研究する東大院生、そしてイケメンです。)
- スクリプカリウ落合安奈(ルーマニア人とのハーフ、グローバルアートプラクティスに注目)
- 鈴木健太(メディアアーティストでハード〜ソフト問わず制作する)
- 住田百合耶(都市開発や建築・設計を専攻し、各都市プロジェクトに参画する)
- たかまつなな(お笑い芸人でありながら作家〜コンサルまで幅広く活動、ジャーナリストの一面にも注目)
- 立野光梨(デザイン心理学を研究するデザイナーで金賞実績も保有)
- 玉津宗太郎(ユーザー体験向上に特化したエンジニア兼アプリ開発者)
- 津久井五月(小説家でハヤカワSFコンテストでは大賞受賞)
- 土屋未沙(水性木版画で動物を描く画家で各作品注目を集める)
- 仲嶺良盛(沖縄伝統芸能に特化したパフォーマー兼作曲家)
- 中村暖(16歳で世界一周を果たした株式会社DAN NAKAMURA代表の空間デザイナー・クリエイター)
- 野村善文(海外を中心に活動するパフォーマンスアーティスト)
- 長谷川カラム(フリーランスのビデオグラファー)
- 馬場隆介(建築設計学で高い評価を受け学会記事に最年少でクローズアップされる)
- Hira Park(音楽フェスSENSATIONに史上初アジア人DJとして登壇)
- 藤坂裕史(アプリクリエイターでプログラミング分野では受賞多数)
- 細井えみか(鉄素材を用いた彫刻作品に特化した彫刻家)
- 松橋脩造(テキスタイルデザイナーで織物工業組合との共同作品などで著名)
- 水野諒大(家具や文具などのプロダクトデザイナーで国際コンペでも受賞)
- 宮嶋風花(映画・映像作家で長編映画から音楽との共同イベント企画などでも活躍)
- 宮代理弘(ソフトウェアプログラマーで人の作業負担軽減をテーマにしている)
- 室岡小百合(フォトグラファーでブランドや雑誌・企業への作品提供などで活躍)
- 森山亜希(油彩画家でドールを用いた作品で注目を浴びる東京芸大在学生)
- 山口美波(日本画の技法を基盤にしながらも伝統絵画の技法や修復にも分野を広げる)
- 余湖雄一(テクノロジー×音楽で誰も聴いた事の無い音楽を目指す作曲家)
- 吉野俊太郎(彫刻Soulptureに着目しながら文化を翻訳する彫刻家)

クマ財団一期生の皆さんの最終発表会の場があれば、会場に足を運びたいですね!
楽しみにしています!